2016年8月24日水曜日

リオデジャネイロ・オリンピック取材日記(9)…8月19日(金)

 【8月19日(金)】

 朝、いつものように起きてネットで日本のニュースをチェック。4連覇ならなかった吉田沙保里の記事が多い。「期待にこたえられずに申し訳ない」など。あやまる必要はないんだけど、日本人はこうしたケースでは、必ず謝りますね。

 米大リーグのヤンキースにいた松井秀樹がけがをして欠場になった時も、「ファンに対して申し訳ない」と言いましたが、それに対し、米国人は「なんで謝るの?」と不思議がったことを思い出しました。

なぜか長蛇の列となっていた入場ゲート
私は純粋な日本人で、感覚も日本人そのものなんですが、この件に関しては米国人の感覚を支持しますね、なんで、沙保ちゃん、謝るの? って感じ。よくやったと思うし、謝る必要はないと思います。3連覇だってすごいこと。日本チームを引っ張って来たことを、誰もが感謝していると思います。

 この日はなぜかゲートが長蛇の列。いつもと同じ時間だというのに、なぜだろう。閉まっているゲートが多いような気がする。それが原因か。

 さて、日本チームにとっては最終日。見慣れた会場の日の丸も、この日が最後かな、と思うと、ちょっぴり寂しい気持ち。その気持ちを打ち返すかのように、樋口黎選手が勝ち進みます。

 私と同姓です。吹田市民教室でやっていた時に、お母さんにあいさつされたことあります。以来、親しみをもって陰ながら応援してきましたが、20歳でこんな晴れ舞台に出るとは思っていませんでした。吹田市民教室の故押立吉男会長も天国で喜んでいるのではないでしょうか。

レスリングハウスに向かう増渕記者。そばに屈強な
ボディガードがいた!
午前と夕方のセッションの間は、UWWが市内に借りてオープンしているレスリングハウスで、協会関係者や応援団のプレ打ち上げ会(まだ樋口選手が終わっていないので、打ち上げとはなりません)。グレコローマンと女子の選手も来てくれました。

 UWWが期間中に借り切った別荘的な食事場所で、UWW首脳はここでVIPを接待しているみたいです。総額2億6000万円とか。UWWって金持ちなんですね~。東京オリンピックでも、こうした場所を確保したいみたいです。どこかいい場所ありますかね。2億6000万円、稼げるんですよ。

 この日は2時45分から、メーンプレスセンター(MPC)でUWWによる伊調選手の会見がありますので、伊調選手は2時すぎにひと足先にMPCに戻ります。私もそれに参加するため、UWWのアンさん、伊調選手とともにMPCに向かいます。

男子グレコローマンと女子の選手が勢ぞろい
「4連覇の選手と同じ車に乗れるなんて、光栄だね!」と言うと、伊調選手は「何言っているんですか。いつもと同じじゃないですか。何も変わらないですよ」との答え。「今後、100年間は出てこない偉業だよ」と言っても、「そんなことないですよ」。沙保里選手も伊調選手も、偉業を達成しても、おごり高ぶった態度はまったくないですね。

 車の中では、アンさんも、運転手も、スマホでカオリンとのツーショットを撮影。それなら私も、とお願いしましたが、私がスマホを使い始めたのは今年1月から。まだ使いきれておらず、自分の方を撮影するやり方を知らないのです。

 カオリンに「どうやる?」と聞いたら、教えてくれて、目の前スマホ画面に自分たちが映りました。シャッターを押そうとすると、自分の手が映ってしまい、顔が隠れます。「ここがレンズです」と教えてくれましたが、今度はシャッターが押せません。

スマホの使い方が分からず、やっとの思い出撮った1枚
なんとかこうとかで、やっと1枚、撮れました。後ろから(私が助手席に座り、その後ろがカオリン)、「これだからオジサンは困るのよね~」との鋭い視線…は、なかったと思います。そんなこと思わない人間性だと信じています。「まぶしい!」ともつぶやかなかったし。

 「スマホ使ったの、今年1月からなんだ」と言い訳をすると、「それじゃあ仕方ないですね」と返してくれました。

 さて午後のセッションでは、”わが弟”が決勝で惜敗し、日本レスリング史上最年少のオリンピック金メダリストを逃しました。あのレフェリーを見た時、隣に座っていた共同通信の森本記者に「あのレフェリー、下手くそなんですよ」と教えました。

 まあ、判定については、おかしいとは思いますが、言ってはならないですね。どんなに言っても勝敗は変わらないですからね。フェイスブックなどでは判定への疑問も少なくありませんでしたけど、もし逆、つまり日本選手が最後にあのような防御で逃げ切ったとしたら、「あの判定はおかしい。○○は負けだった」とは、絶対に言わないと思います。

MPC内にある指圧センター。保高カメラマンが試して、
けっこうよかったとか
“弟”の言葉で印象に残ったのが、「努力でここまで来たとは思っていない。好きなことをやってきただけ」という言葉です。人生、これが大事だと思います。

 私もよく協会ホームページにお褒めの言葉をいただきますが、「苦労している」とは思ったことないです。やりたいことをやっているだけ。他の仕事なら、「この仕事量・内容でこの報酬?」と思うことをやっていますが、強制されているわけでなく、自分がここまでやりたい、と思ってやっていること。そうでなければ、できないことですね。

 ですから、自分の子供にレスリングはやらせていません。子供にとって体にいいスポーツとは思いますが、やりたいとは言わないですし、スポーツでなくとも、没頭できるものを見つけて、それに打ち込んでくれればいいと思います。

 それは、若い時には見つけられないかもしれません。私がプロ野球かプロレスの記者が自分の一番ぴったり職業と感じたのが大学4年生の頃、今の仕事をやりたいと思ったのは、27歳くらいの時ですからね。

 話はそれましたが、"弟"には、来年の世界チャンピオンを目指してほしいと思います。オリンピック翌年の世界選手権は、強豪が休養するケースが多いので、チャンスなんです。

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