2016年8月21日日曜日

リオデジャネイロ・オリンピック取材日記(8)…8月17日(木)

 【8月18日(木)】

宿舎のそばにあったバドミントン会場
金メダル3個を取った後を受けての女子2日目。この日は場所が分かったバドミントン会場を通ってみようと思い、いつものコースとは別の道に行きました。うまくいけばメーンプレスセンターまでバスで行けるかもしれない、という気持ちもあった。

 しかし、結果として三角形の2辺を通ることになり、遠回りに。メディアの入り口は反対側。シャトルバスはあるかもしれないけど、こんな時間に頻繁に動いてはいないだろうから、結局、徒歩の安全策を取りました。

 無駄になったけど、これをマイナスと考えないところが、最近の私。「この道を行っても、遠回りになることが分かった」と前向きに考えます。子供の頃はけっこうマイナス思考だったのですが、今はかなりの部分でプラス思考ですね。

 私の好きなエジソンの言葉に、「私は失敗したことは一度もない。うまくいかないことを発見したことは数限りなくある」があります。あと、有名な「この道を行けば、どうなるいことか、危ぶむことなかれ。危ぶめば道はなし。(注略)行けばわかるよ」ですね。

バドミントン会場のそばにあったBRTの駅
観客席で協会事務局の武田さんに遭遇。「あっという間に終わるわね~」。日本選手が出るのは翌日の男子フリースタイル1日目までで、武田さんたちはその翌日に帰国するので、「もう終盤」という感覚なんですね。

 私たちは日本選手が出なくても最後までいるので、「やっと後半スタート」という感じなんです。8日間は長い。終わってみれば、あっという間だろうけど。

 観客席は前日同様、日の丸が多い。記者席前のテレビを見ると、浜口京子ちゃんが会場をバックに何かレポートしている。日本テレビの解説か何かで来ると言っていた。どこにいるかな、と探してみると、私達の記者席側だけど、ちょっと離れた特別ブースみたいなところからだった。
 それにしても、日本で放映されている画像(たぶん生中継)が、目の前のテレビで見られるとは思わなかった。放映権を持つテレビ局と組織とが密接につながっていることを実感。京子ちゃんには解説デビューの取材でもしたかったが、いつ放送が終わったかも分からず、結局、会えずじまいだった。


地元選手への熱狂的な応援
それにしても、サーバーがつながらない。24時間以上、ほとんど不通のまま。この日も日本時間の午後10時から吉田沙保里らの試合があるので、つながる可能性はほとんどなしだと思う。下書きづくりに専念するしかないが、きちんとタイトルをつけていても、何が何だかわらかなくなりそう。

 1回戦でリオ(渡利璃穏)が地元の選手に敗れた。すごい声援だった。南米の人特有のムードもあるのだろうけど、地元の選手が出ると盛り上がる。しかし、試合後の渡利選手は「試合に集中していたので、気になりませんでした」。こうでなければならないでしょう。

 午前と夕方のセッションの間は、持参したカップヌードル。どこかに食べに行く時間などない。メディアセンターを見ると、数人が同じようなことをしている。報道記者・カメラマンというのは、同じような行動になるんだな。忙しい時はカップヌードルを食べながら、パソコンを見て、さわるような人でなければ、報道の世界ではやっていけないでしょう。サーバーがつながらないので、いつもより余裕があるんだけどね。

4連覇ならず、母に駆け寄った吉田沙保里
そして午後。4連覇を目指していた吉田選手、その思いを達成することができませんでした。相手のマロウリス(米国)は、国民栄誉賞の決め手となった2012年世界選手権の決勝の相手。その時は手も足も出なかったんですよね。ま、去年は55kg級で世界一になっているので、成長していることは予想していましたが、試合前、米国協会ホームページの記者が「(マロウリスは)勝てないよ…」と言っていました。

 あと1年なら分からないけど、今年は帳尻合わせであっても吉田が上回るのでは、と予想していました。負けた時、16年前のシドニー・オリンピックでアレクサンダー・カレリンが負けた時のことがフラッシュバックしました。あの時も、相手は米国選手。米国応援団の大声援の一方、声が出ない人もたくさんいて…。

 観客席にいた布施記者によると、日本の応援席は「まるで通夜」。だれ一人として声を出すこともできない状態だったそうです。

 吉田の連勝記録に注目したのは私です。119連勝でストップしたあと、「個人戦の連勝記録」で再度アピール。最初は「個人戦だけではね~」と言っていたマスコミも、「200連勝」くらいになると、大きく扱ってくれました。

 栄本部長に「やっと(マスコミに)相手にしてもらえたね。最初はシカトされていたけど」とメールすると、「樋口さんのおかげだよ」と言ってくれた。その歴史にピリオドが打たれた。カレリンの負けも寂しかったけど、沙保里の負けも寂しかった。

 でも、これが勝負の世界。表彰式で「星条旗よ、永遠なれ」が流れ、満面の笑みと目を真っ赤にしたマロウリスの顔がビジョンに映し出された時、「よくやったね」と、こちらの目頭も熱くなりました。歴史的な勝利は、だれをも感動させる力があります。

 夜、栄本部長から「本当に残念だ」とのライン。「よくやったよ。カレリンも負ける日がきたんだ。どんなスーパースターでも、その日が来るんだ」と返信。慰めの意味をなしたかどうかわからないが。

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